漆について
漆の乾き方
漆が乾く時に必要なのは、乾燥ではなく、湿度。不思議な液体です。
酵素が働いているようです。
暖かさも必要で、温度は28度、湿度は70%くらいが最適でしょうか。
石垣島は絶好の漆制作場所なのです。
半面、作業中に乾きすぎてひどい目(予想に反して乾きすぎ、全部やり直し)にあったこともあります。
内地ですと、冬には乾かす場所にひよこ電球をいれたり、
霧吹きを使ったりと、なかなか大変ですが、乾きすぎても大変なので、
どこが漆の作業場所が良いかは、人それぞれなのかもしれませんね。
酵素が働いていて、お世話も必要。漆は、生きているのだな~と思います。
漆が学べるところ
よくお客様に「どこで漆を学ばれたの?」と聞かれます。
私は、香川県の漆の学校で学びました。
3年間、普通の学生のように、月から金まで、朝から夕方までびっしりでした。
私の知識では、漆だけの専門学校のようなところは、
香川県と、石川県だけのはずです。
他に伝統工芸学部、漆学科みたいなところは
日本全国ちょこちょこあります。(陶芸科とか、織物科なども併設)
沖縄にもあり、お邪魔したこともあります。
県によって、技法が様々ありますが、
香川県は彫ることと、色漆を使うことを得意としていました。
なので、うちのギャラリーには緑色とか、黄色、青色の漆の品が置いてあります。
「漆って黒と赤だけかと思った」とよく言われるのですが、
漆の樹液(茶色)に、顔料や染料を入れるので、色々な色が出来ます。
しかし、ベースが茶色なので、すこし濁るというか、落ち着きが出ます。
特に白色はベージュな感じの色に基本なります。
上品で、柔らかな印象な漆の色々です。
日本(本州)の漆と石垣島の漆。
私の知ってる限りでは、樹液として利用されている漆の木は、世界で2種類のようです。
日本、いわゆる内地で採れる漆(中国産や韓国産?)も同じのはず。
寒さが厳しくても育つ漆です。
もう一つは、東南アジアで採れる漆です。
ベトナムや、ミャンマーに行かれた方はご存じと思いますが、
よくお土産物屋さんで漆の製品を見ます。
この漆はゴムのような感じが強く、日本や中国の漆と感触がかなり違うようです。
昔、石垣島にあったであろう漆の木、気候的に、こちらの東南アジア漆ではないかと
推測しますが、もしかして、独自の生態を持つ、石垣漆の可能性も捨てきれません。
石垣島に漆はあるの?
「石垣島に漆はあるの?」と良く聞かれます。
答えは「ない」ですね。
昔は「うるしやま」という名の山があったそうなので、
あったらしい(栽培していた?)とは聞いています。
もしかしたら誰も知らないだけで、山の奥にひっそりと生息しているかもしれません。
地元の方のいう「うるし」は、いわゆるハゼで、
石垣島では珍しく紅葉してくれるので、私たちの目を楽しませてくれます。
ちなみにマンゴーもウルシ科なので、かぶれに弱い方は
食べ過ぎるとかぶれます。
うちの庭で漆の株を植えたこともあったのですが、
気候が合わないのか、消滅しました。残念です。
漆について
漆とは、ウルシの木の樹液です。木の樹液をもらって、漆のものを作っているのです。
Forestale Unoではほぼ全ての器が漆器で、
2階には漆のギャラリーがあります。
意外とそんなお店は日本全国、滅多にないと思います。
漆器制作に手間が掛かり、値段がどうしても高くなってしまうからなのと、
漆器のお手入れが大変だと思われているからだと思います。
(うちはオープン10年で、ずっと漆器をガチャガチャ使ってますけど全然大丈夫です)
後は漆職人自体が全国的に見て少ない(石垣島で多分私一人のはずです)からですかね。
せっかくなので少しずつ、漆について書いてゆこうと思います。